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花天月地プロジェクト
KatenGetch Project (YMC Inc.)
DATE: 2011/10/30(日)   CATEGORY: 未分類
『語り合う身体』の試行
『語り合う身体』の試行
               山崎哲史(演出家・俳優)
クロード・シルサルチック氏によるワークショップは、二つの意味おいて非常に洗練されていた。
まず、ワークショップとしての成熟度の高さである。導入から到達点までのプログラムが体系的であり、参加者は確実な段階を踏んで、この日の成果への道程を歩むように設計がなされている。そこに無駄もなければ積み残しも感じさせない、短時間の創作のためのミニマルな構成によって、ポーランド新進演出家のエッセンスを体感させるものであった。また、会場として劇場のステージを使用し、本番さながらに音楽・照明も加えられるほか、開始前・休憩中は参加者の入場を制限するなど、創造のための空間が緻密に演出されていた。そのような場で行われる実験的な創作は、参加者の可能性を追求探る試行の醍醐味があった。それは受動的なレッスンの類ではなく、まさに“ワークショップ”本来の意義に沿ったものであろう。
そしてもう一つは、やはりその新鮮で濃密な内容である。『語る身体』と題されたワークショップに身体を提供する参加者は、募集段階から11名と限定され、その背景は様々。っ参加者個々の話を、それぞれの身体に語らせ、4時間の相互に影響しあう作業を経て、この日の集団の作品としていく。
流れとして、まず、丁寧なウォームアップで徐々に身体の可動域広げていく。もちろん、特権的なダンサーの身体を持たない参加者にとっては、“それなり”でしかないが、トルソー(胴体)部分を前後させる動きは、この日のコアな体験の一つであり、幹部が動く事で身体の表現の幅は自ずと豊かになる。参加者は相互に、トルソーの動きでコンタクトをとりながら、関係を保ことが随時求められていた。
その後、全員で意識を共有させてスペースのバランスをとる作業、静止している“人間彫刻”の状態での身体の見え方などの段階を挿入した後、後半は『語る身体』の集団試作に臨む。まず各自が「愛」「殺人」という仮のテーマから思いついた話を、自由にマイム表現するところから始まり、そこから独自の手法でシアトリカルなダンスに進化させていく。具体的には、動作をポイントとなる部分に5分割し、カウンターアクションや感情を使った強調や、内、外、箱の中でといったイメージを使ったバリエーションを加えながら、前半で体験した独特な動きを取り入れて、身体で表現することを試みていった。
途中、目隠しで行うアクティビティが織り込まれていたが、それ以外のワーク中何度かクロードが「眼を閉じないで」と声掛けをしていたことも印象的であった。これはダンサーを“個”の作業に閉じ込めないようにする示唆であったのだろう。
そうして“パーソナル”な動きから、参加者相互に影響しあう関係性を作りながら、全体創作へと導かれていった。またその間、絶えず使用されていた音楽は、ときにはクロードの声も聞きとりにくくなる程に関与してきた。このあたりの音楽の積極性は、ダンサーの相対関係の尊重とともに、ある意味このカンパニーにガルジェニツェ(演出家・スタニエフスキ率いる劇団)の系譜を感じさせるものでもあった。(了)

(シアターX批評通信vol.14の原稿から)
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