FC2ブログ
花天月地プロジェクト
KatenGetch Project (YMC Inc.)
DATE: --/--/--(--)   CATEGORY: スポンサー広告
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
page top
DATE: 2011/11/29(火)   CATEGORY: 上演記録
芝浜繁盛記に寄せて
本日は「芝浜繁盛記」にご来場ありがとうございました。
「フォーラム・コイナさんの会」は、この麻布演劇市をホームグラウンドとして、今回で21回目の本公演となります。『1989年に故・千田是也先生の研究会「千田ゼミナール」のメンバーが主体となって、故佐伯赫哉さんの呼びかけで発足した歴史のある団体で、「コイナさん」の由来は、ドイツの劇作家・B.ブレヒトによるもの・・・』と、公演のチラシにも記載されております。その頭に「フォーラム」と付いているのは、この団体の旗印のもと、そこに演劇のメンバーが「集う」場であろう、というコンセプトが加えられたものと伺っています。
今回、また新しくこの「フォーラム」に集った俳優・スタッフで、人情もの古典落語の名作「芝浜」を題材に、お芝居を作ることを試みました。芝浜は、ここ港区にとてもご縁のある演目でもあります。すばらしい伝統的な話芸である落語の世界を、どのように演劇として立体化するか、このフォーラムでもあれこれと知恵が絞られました。一人の話芸の落語とは違って、演劇ではそれぞれが人物を演じます。言葉(セリフ)を発していないときでも、それぞれの人物としてその場を生きています。今回登場するのは7人の人物。そこには7人分の思惑と人生があり、それを7人の俳優さんが演じます。その個性を活かしたアンサンブルで作り上げたものが、今回の「芝浜繁盛記」というお芝居です。
ところで、創作の過程で最初に思いついたアイデアは、ある小話を全体構成に取り入れることでした。それは、このようなお話です。《いつも師匠に叱られている不出来な弟子がいました。ある日、寄席に師匠が遅刻して、とうとう高座に上がる時なってしまいます。困ったその弟子は、お客さんにお詫びにと登場したところ師匠と勘違いされ、お囃子と拍手に迎えられます。それに気持ちよくなってしまった弟子は、事もあろうに落語を始めてしまいます。師匠の演目を見よう見まねで一席、と思ってはみたものの、上手くできるどころか話はうる覚え。仕方がないので途中から自分で創作して筋を変えて話してみたら、これがお客様に受けて大喝采。その後、師匠が到着して本物の落語を始めるのですが、お客様からは「面白くない、さっきの名人の弟子にしてもらえ」と野次が飛んだ。》これを今回のお芝居の枠組に取り入れようと考えました。残念ながら、上演時間の都合でそれを伝えるセリフは無くなってしまいましたが、今回冒頭で話している落語家はその不出来な弟子であり、この「芝浜繁盛記」は、彼の頭の中で創作された苦肉の作り話、という設定です。なので本来の「芝浜」から話は脱線して、「時そば」や「皿屋敷」なぜか「走れメロス」まで混入してしまっているのです。願わくは「お客様からの喝采」までもが現実のものになればありがたいのですが…。
さておき、この「芝浜繁盛記」の庄三郎さんは、酒好き女好きのだらしない怠け者です。しかし貧しいながらも、あたたかい仲間と愉快に暮らしています。そこから酒を断って生まれ変わり、真面目に働くようになるのかどうか、そういったお話になるわけです。当時は、このお話も原作の落語も同様ですが、背景として「まじめに働けば、生活は豊かになる」という道徳的な社会構造がありました。ところが、フルタイムで真面目に働いても水準以下の生活しかできない、所謂ワーキング・プアーなんて問題がある現在では、本人の改心だけではどうにもならない状況にあるわけです。本当に世知辛い世の中だと思います。
 そんな時代の違いはありますが、もし「大金を手にしたらどうなるか」というテーマから見てみると、時代を超えて共有できるものがあるように思えます。「財布の重さ」と「人情」を天秤にかけた魚屋の庄三郎さん、選んだ結論はもちろん、愛妻のお秋さんや仲間との楽しい暮らしだったわけです。大好きなお酒と引き換えに手に入れたものは、金銭的な成功や出世ではなく、そこに「集う」人たちのありがたさへの気付きだったのではないでしょうか。 
本日は約85分の短いお芝居でございます。ここは六本木、皆様のご観劇後のおいしいお酒の肴にでもなればと存じます。最後までごゆっくりお楽しみください。 では、「おあとがよろしいようで・・・。」 
        (演出・山崎哲史)
スポンサーサイト
[ TB*0 | CO*0 ] page top

COMMENT

 管理者にだけ表示を許可する

TRACK BACK
TB*URL
Copyright © 花天月地プロジェクト. all rights reserved. ページの先頭へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。